今日は、身近にある「紙」について、ちょっと意外な(そしてややこしい)お話をしようと思います。印刷業界に入りたての頃、実は私も同じ勘違いをして冷や汗をかいた本人です。
「専門用語」として堅く解説するのではなく、「誰もが陥る勘違い」という視点から、
読者の皆さんが「へぇ〜!そうだったんだ!」と感じてもらえるようなお話としてお届けします。
「A2」「A3」=サイズだと思い込んでいませんか?
皆さんは「A2」や「A3」と聞いて、何を思い浮かべますか?
- 「ポスターくらいの大きさ(A2)のことだよね?」
- 「A3は、選挙ポスターやパンフレットを開いたサイズでしょ?」
- 「つまり全部“紙のサイズ”の呼び方でしょ?」
もちろん、それも正解です。
ただ実は、印刷の現場ではもうひとつの意味で使われる別の「A2」「A3」が存在します。
新人時代の赤っ恥。「用紙はA3コートでいくから」の真意
昔、私が新人だった頃の話です。
先輩から
「今回の案件、用紙はA3コートでいくから」
と言われたときのこと。
私は心の中で、
(ふむふむ、仕上がりはA3サイズね。大きめのチラシかな?)と
勝手に思い込み、意気揚々とA3サイズの紙を用意しようとしていました。
ところが、よくよく話を聞いてみると、作るのは「A4サイズ」のリーフレット。
そこで思わず、
「……あれ? サイズはA4なのに、なんで紙はA3なんですか?」
と質問してしまったのです。
すると先輩は、少し苦笑いしながら教えてくれました。
「この場合のA3っていうのは、大きさじゃなくて『紙のランク(品質)』のことなんだよ」
……ええーっ!? ですよね(笑)。
サイズじゃなくて「お化粧の厚さ」?
紙のランクとしてのA2・A3
実は、チラシなどでよく使われる「コート紙(つるつるした紙)」には、
表面に塗られている薬品(コーティング)の量によってランク分けがあるんです。
ざっくり言うと、イメージはこんな感じです。
コート紙の「A2」「A3」って?
A2(コート)
しっかりお化粧している状態。ツヤツヤして発色が良く、高級感があります。
パンフレットの表紙やポスターなど、見た目の印象を大事にしたい場面で活躍します。
A3(軽量コート)
A2よりお化粧が薄め。少し紙の地肌感があり、その分コストも抑えられます。
新聞折込チラシなど、大量に配布する印刷物でよく使われます。
つまり、「A2 > A3」の順で、紙のグレード(コーティング量)が変わるということ。
サイズの話だと思っていたら、実は品質や用途の話だった――
これは、勘違いしてしまっても仕方がないですよね。
「グロス」と「マット」は、ツヤの有無の違い
さらに、同じコート紙でも「お化粧の仕上げ方」に違いがあります。
代表的なのが、この2つです。
- グロス: 光沢があってピカピカ。写真をきれいに見せたいときにぴったり。
- マット: ツヤを抑えたしっとりした質感。文字が読みやすく、落ち着いた雰囲気になります。
たとえば「A2のマットで」と言われたら、
「しっかりコーティングされた(A2)、ツヤ消し仕上げの紙(マット)」
という意味になるわけです。
わからない時は、そのまま聞いてください
正直に言うと、私たちプロでも紙の種類は星の数ほどあって、いつも悩みながら選んでいます。
だからこそ、お客様が
「紙のことはよくわからなくて……」
とおっしゃるのは、むしろ当たり前のことなんです。
紙の名前がわからなくても、こんなイメージで十分です。
- 「ツルツルした厚めの紙がいい」
- 「予算を抑えたいから、薄くて安い紙で」
- 「写真をきれいに見せたい」「文字を読みやすくしたい」
そんなふうに感覚でお伝えいただくだけで大丈夫です。
私たちが、数ある紙の中から
「それなら、このA2コートが良さそうですね!」と、
通訳のような役割で最適な一枚をご提案します。
迷ったら、遠慮なく聞いてください
「紙」一枚で、手に取ったときの印象や、伝わり方は驚くほど変わります。
もし迷ったら、どうぞシンセイ印刷にお気軽にご相談ください。
かつて「A3」をサイズだと信じ込んでいた私が、同じ目線で、分かりやすくお答えします!