正直、私も悩みました。「これ、何に使うの?」って。
印刷屋をやっていると、たまに不思議な紙に出会います。
今回ご紹介する「水溶紙(すいようし)」もその一つです。
メーカーさんからサンプルを見せられた時、実演でコップの水にチャポンと入れられました。
すると、あら不思議。数秒でホロホロと繊維がほどけて、あっという間にドロドロのパルプ液になってしまったんです。
「おお、すごい!」
……と感動した直後、私の頭に浮かんだのは、極めてシンプルな疑問でした。
「で、これ……何に使えばいいんだ?」
■ 溶ける=消える。そこに価値があった。
紙といえば、「残すもの(記録)」というイメージが強いですよね。
でも、この紙は真逆。「消す」ことに特化しています。
最初は「スパイ映画の機密文書くらいしか思いつかないなぁ」なんて冗談を言っていたのですが、色々調べてみると、実は面白い使い道がたくさんありました。
- ✅ 灯籠流し(とうろうながし)
川に流しても自然に分解されるので、環境汚染になりません。 - ✅ ガーデニングの種まきシート
土に埋めると、紙だけ溶けて種が残ります。 - ✅ 機密文書(本当にあった!)
社外秘のメモなどを、シュレッダーいらずで水処理できます。
■ シンセイ印刷が出した「答え?」
「この面白い素材を使って、一般の方にも楽しめるものを作れないか?」
そう考えてサンプルをつくったのが、「とけるメッセージカード」です。
誰かに見られたくない秘密の悩みや、忘れてしまいたい失敗談を書いて、水に流してスッキリする。
あるいは、サプライズで水に入れるとメッセージが消えて、中から何かが出てくる仕掛けを作る。
「消えるからこそ、伝わる」という、ちょっと禅問答のような、新しい紙体験。
ぜひ一度、あなたもこの不思議な感覚を味わってみませんか?
■ あなたの「名案」、お待ちしています。
とはいえ、私一人の頭(引き出し)で考えられることなんて、たかが知れています。
もしかすると、もっとアッと驚くような使い方が、まだ眠っているのかもしれません。
「私なら、こんなふうに使うかも」
「こんな遊びに使えたら楽しいのに」
そんなふとした思いつきがあれば、ぜひ教えていただけませんか?
もし素敵なアイデアをいただけたら……本当に商品化してしまうかもしれません。
一緒に、新しい「紙の遊び方」を探してみましょう。
■ 水溶紙に関する Q&A
家庭用のプリンターで印刷できますか?
「レーザープリンター(トナー式)」であれば印刷可能です。
インクジェットプリンターの場合、インクの水分で紙がヨレたり、溶け出してしまう可能性があるため推奨しておりません。
ペンで文字を書いても大丈夫ですか?
はい、ボールペンや鉛筆で問題なく書けます。
ただし、水性ペンの場合は、水に溶かした際にインクが滲み出すことがありますのでご注意ください。
保管する時に気をつけることは?
「湿気」が大敵です。
濡れた手で触らないのはもちろん、梅雨時などは湿気で波打ってしまうことがあります。使用しない分は、ジップロックのような密閉袋に入れて保管することをお勧めします。
溶けた後の水はどうすればいいですか?
成分はパルプ(植物繊維)ですので、そのまま排水溝やトイレに流しても環境的な問題はありません。
(※一度に大量に流すと詰まりの原因になりますのでご注意ください)